もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
どうして…?
『ただいま。』
玄関にある靴を見て、珍しくりょうが私よりも先に帰っていると知る。
インテリアショップの仕事はいつも9時頃に終わって、私は9時半には帰宅する。
りょうは残業がある日がほとんどでいつも私よりもっと遅い時間に帰ってくるけど
残業がない日は私よりも帰ってくる時間が早い。
今日は仕事が終わった後も向井さんと長話してしまって
帰るのが少し遅くなってしまった。
まさかこんな日に限って
りょうが先に帰ってきてるなんて…
「おい、なんでこんな遅かったんだよ?」
リビングで煙草を吸いながら
りょうは怒った口調で言った。
やっぱり……
私の予感通り
りょうは怒っている。
『ごめんね。ちょっと店の人と話してたもんだから…遅くなっちゃって…』
「は?話してた?美沙、お前ふざけてんの??」