最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
「悲鳴が聞こえてお前の元に駆けつけたときに、すぐにピンときた。もしかしたアイツが―――」
「それは違います」
桐葉さんが言いたい事がわかっただけに、私は遮ってまですぐに否定した。
「確かに話はしていましたが、あれは私の不注意で自らが招いた事故です。たぶん1番驚いたのは茉莉愛ちゃん自身だと思う」
「……そうか」
表情は変わらず、本当に納得しているのか彼はポツリと呟いた。
「どんな理由にしろ、お前は危険な目に遭った」
「それはそうなんですけどね……」
「だから関わるなと言ったんだ」
「でもそれとこれとは――」
「関係あるだろ!」
荒っぽい口調と響く声量に、ビクッとまた肩が震える。
桐葉さんは明らかに怒っている。それも今までで1番……
「倒れているお前を見つけたとき、心臓が止まるかと思ったんだぞ」
「すみません……」
「頼むから……あんまり無茶をしないでくれっ」
祈るように組んだ手を額に当てて項垂れた。
それほど心配してくれていたんだって、言葉1つ1つを取ってもわかる。
もちろん心配を掛けさせるつもりなんてまったくなかったけれど、素直に嬉しい。
「ありがとうございます、支配人」
改めて桐葉さんにお礼を伝えると、項垂れていた顔をあげ複雑な表情を向けながら言う。
「お前は危なっかしい女だな、いろんな意味で」
そう……意味深なセリフだけが返ってきた。