最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
これ以上の説得はせず、茉莉愛ちゃんの意思を尊重し承諾。
彼女と別れて職場へと戻ってくる頃には日が暮れていて、スタッフのほとんどは定時で帰宅。その他の結婚式が近いメンバーは準備の為に残っていた。
そしてその中には、凪の姿も───
「凪、今ちょっといい?」
自席で仕事をしている彼に『場所を移して話をしたい』と伝えると、何か察したのか強張った表情からは緊張感が感じ取れる。
別れてから私の方から《《仕事以外》》で話し掛ける事なんて、ほとんどなかったのに。
珍しく自分から声を掛けるなんて……
「茉莉愛ちゃんと、さっききちんと話してきた」
人気のない打ち合わせルームに移動すると、私は真っ暗な部屋の明かりを点けて凪を招き入れ、窓際の席へと歩きながらさっそく本題を伝えた。
すると凪は、私が彼女に会いに行った事が意外だったのか驚いた表情を浮かべながらその場で足を止め、そしてまたバツが悪そうに『そう……』と言いながら顔を背けた。
私が自分から茉莉愛の話題に触れたのは、別に凪を責めたかったからじゃない。
ただ伝えたかっただけ。
「凪との事、彼女が今まで思っていた事や素直な気持ちを知れた。もちろん全てを納得して受け入れられた訳ではないけれど……だけどスッキリはしたよ」
私の話を、凪は神妙な面持ちで聴いていた。