最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 彼は今、何を考えているんだろうか。
 そして茉莉愛ちゃんとの関係は……
 
 まだ彼女の事───

「俺たち、別れたんだ」
「え……」

 私が言いたかった事が伝わったのか、知りたかった事をこっちが聞く前に告白してくれた。

 でもいったいどうして……

「こんな事があって、それでも好きでいられるほど俺は大人じゃなかった。どうしても許せなかったんだ」
「凪……」
「まぁ俺が言える立場じゃないんだけどな。元はと言えば俺が先に浮気した訳だし……」

 伏し目がちに俯いて申し訳なさそうな顔をする凪に、『本当、そうだよ』なんて……言えなかった。

 凪は後悔していたから。

「瑠歌の気持ちがわかったんだ。裏切られるって
どういう事なのか……身をもって思い知らされた」

 『同じ目に遭って理解した』と悔しさを滲ませながら言う彼に、追い討ちを掛けようとは思わない。
 それどころか今更でもわかって貰えただけ良かったと、少し安堵したのが正直なところだ。

「色々と、本当にごめん」

 背筋を伸ばし、90度に深々と頭を下げて謝罪する凪に『そこまでしなくて良い』と頭を上げるよう言うも、彼は何度も申し訳ないと口にするばかり。

 2人に謝られると、まるでこっちが責め立てて悪い事をしてるみたいに思えてしまうんだけど……
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