最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
え、どうして私は初対面の相手に責められているの? というかどうしてそんな事を言われなきゃいけないの? これはあくまで仕事なのに。あの状況で注意しないと、もっと事態は悪くなったんじゃないの?
冷静に考えていたら沸々と怒りが込み上げてきて、抑えなきゃと思うのに感情のままに口が開きそうになった。
だけど――
「今日は帰ります。また来ますと、李月に伝えといてください」
彼女は最後まで勝手を言うとまた悪びれた様子もなく席を立ち、道をあけるスタッフ達の間を我が物顔でずいずいと通って出て行ってしまった。
「なんだったの……あれ」
怒りをぶつけずに済んだのは良かったけれど、どうにも後味が悪い。メンタルも癖も強い人だったな。
桐葉さんにあんな濃いキャラの知り合いがいたなんて……凄い。
気分を害したのは私だけじゃなかった。
「ちょっと瑠歌! なんなのあの女は!?」
一部始終を近くで聞いていた仁菜は我慢の限界だったようで、開口一番怒りを爆発させ鼻息を荒くしながら私に駆け寄ってきた。
「ね。私も初めて会った人だったけど、なかなか濃い人だった」
「ってか失礼なのはどっちって話だよ! あの女こそ何様!?」
代わりに怒ってくれる仁菜にありがたく思う。おかげでこっちの気持ちが少し晴れたから。