最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
私は彼に、疑問の1つをそれとなく訊ねてみる事に。
「さっきの女性って……もしかして例の?」
「あぁ。前に話していたアイツだ」
最後まで言わずとも誰を指しているのかお互い理解出来たのは、私達にしては珍しく息が合った方だ。
「どうしてアイツがここに来たんだ……? バレないように遠ざけたはずなのに……」
青ざめる桐葉さんを見ていると、余程イヤなんだっていうのが伝わってくる。
なのに私が追い討ちを掛ける。
「調べたんじゃないですか?」
「それが1番恐れていた事なんだっ!」
「あ、はい……」
力の籠った一言に、思わず『ですよね……』と、こっちまで苦笑い。
「支配人から元カノの話は聞いていたましたが、実際に会ってみるとなんというか……」
「強烈だっただろ」
「え、えぇ……。見た目があんなに綺麗だし落ち着いた雰囲気があったので”まさかな”と最初は信じられませんでした。ですがすぐに納得しましたね」
「だから言ったろ? 俺は盛ってないぞ」
「別にそんな事は思っていませんでしたよ」
まぁ盛ってもいいレベルに強気な性格だったけど。
「見てわかったと思うが、アイツは面倒な女なんだ。また来たとしてもくれぐれも関わるなよ」
「あー……もう遅いかも」
「お前まさかっ」
桐葉さんが驚いた拍子に腰掛けているレザーチェアが軋んだ。