最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 確かにこんなにバズっている人なら、集客も見込んで使いたくなるか。私が社長でも契約しちゃうかも……

 だとしても。
 せめて桐葉さんには相談するべきだと思う。ここの支配人な訳だし。
 それとも、相談したら間違いなく却下されるから事後報告にしたのか?

「そういう訳だから、これから色々とお世話になるねっ 李月♪」

 雑誌を鞄にしまいながら、彼女は一方的に話を完結させて私達に背を向ける。

「お、おい! まだこっちの話は終わってないぞ!」
「そうなの?」

 桐葉さんが呼び止めると、くるりと振り返りながらまるで他人事のように首を傾げている。
 本当に、桐葉さんとは何もなかったかのように自然すぎる。

「お前……よくそんな平気な顔して俺の前に来れたな」

 それは桐葉さんが1番疑問に思っていた事。彼の強ばる表情からは、かなり杉森さんにドン引きしているのがわかる。
 だけど彼女からは……

「だって別れて10年だよ? 今さら気にする事でもないじゃない?」
「は?」
「でも私は今でも好きだよ! 再会出来たのは嬉しいし」

 反省の『は』の字もなかった。
 それどころか、完全に開き直っていて桐葉さんも開いた口が塞がらない状態。

 『今さら気にしない』って、桐葉さんが言うならまだしも杉森さんが言っちゃうんだ……
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