最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 杉森さんは話が済んで満足したらしく、鞄に雑誌をしまいながら『近々また来るから』と桐葉さんの目を見る事もなく言い放つとこの場を後にした。
 愕然と彼女の後ろ姿を見つめる桐葉さんに少し同情してしまう……

「なんだか……凄い事になりましたね……」
「何かが起こりそうな嫌な予感しかしなくて恐ろしい……」
「同じくです……」

 この時の私は、“桐葉さん大変だな。何もなければいいんだけど”くらいの気持ちで、あくまで傍観者としてだった。

 けれど……
 まさか桐葉さんについて私自身が知らなかった事、本人から聞かされていなかった過去を知る事になるなんて。

 そして。
 《《杉森さん》》と桐葉さんとの間にある“過去の繋がり”がもう1つある事も。

 明かされる真実に、私の心が乱されるなんて───
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