最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

「えっと……さすがにこれ以上広い部屋となるとリフォームでもしない限りは───」
「じゃぁリフォームを求めます」

 笑顔を引きつらせながらも穏便に説得を試みるものの、言い終わる前に彼女がしれっと反発。

「へ?」
「広さと配置は私に任せてもらって構わないので、予算・見積りについてはお願いします」

 いやいやいや、簡単に言わないでよ。どう考えても無理でしょ。何勝手にこの建物の大改造計画なんて考えてるの。
 杉森さんが以前まで働いていた所は、全国でも有数の格式高い式場。高額ではあるけれどそのぶん規模の大きさも桁違いだし、芸能人も利用するだけあって人気もある。そこと比べられて、同じようにしようなんて考えているとしたら凄く困る。そんなの任せる訳にはいかないでしょうが。

「さすがに急にそんな事を言われましても……」
「社長には了承いただいていますのでお気になさらず」
「・・・へ?」

 また愕然とした。
 社長にって……あの人そんな事OK出したの? それに何? 何でも社長に交渉してるけど、まさか手のひらで転がしてる?
 何を考えているの?

 ……とは言え、社長からGOサインが出ている以上『無理です。出来ません』とキッパリ断れるはずもなく、この場は仕方なく『検討します』と答えてしまった───

 


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