最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

*昼と夜。

 その日を境に、桐葉さんとの会話が
 消えた───

 もともとプライベートな話をたくさんする間柄ではないけれど、それを更に上回って喋らなくなったように思う。それどころか顔を合わせる機会も減ったのでは? 
 仕事の時も……

「支配人、ちょっとよろしいでしょうか。今日の会場準備の件で」
「……なんだ」
「私の打ち合わせが長引きそうで人手が足りなくて、どうしたらいいかと───」
「それはいい。俺が引き受ける」
「え……」

 素っ気ない一言に目を合わせる事も一切なく、逃げるように去っていってしまう。
 『それはいい』って……桐葉さんも自分の仕事立て込んでいるはずなのに、いいの?

 もう少し一緒に考えて答えを出すくらいには会話が増えてきたと思ったんだけど、ここ数日は会話どころか一方通行の業務連絡だけで、彼の態度は最初の頃のように冷たく戻っている。
 気のせいかな。でもまるで避けられているような……
 え、まさか本当に私、彼に避けられてるんじゃ……?

 なぜ……?
 避けられている理由に心当たりがあるとすれば、やっぱり例の彼女の出現と写真の一件だとは思う。
 だけどそうだとして、どうして私が避けられるの? 何か気に障る発言でもした? それとも態度が悪かった?

 
 それに気になる事が、もう1つ───

 
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