最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
2人とも何を言う訳でもなくただジッと顔を見合わせ、桐葉さんの方は徐々に渋い表情に変わってきている。これはあまり良い雰囲気じゃないな……
「ね、ねぇ凪っ 打ち合わせしよ!」
居た堪れない空気感を打破したくて咄嗟に話題を戻すと、凪も『そうだね』とようやく桐葉さんへの拘束を解いてくれた。
凪は桐葉さんに何か言いたい事でもあった? 何をしたかったんだろう。
桐葉さんと杉森さん、そして凪の事も含めずっとモヤモヤして気が重い。そして何より気が滅入るのは、彼女と仕事をする時間だ───
***
「ちょっと棗さん、こんな古いのまだ使っているんです?」
「古いと言ってもまだそんなに───」
「必要な備品も揃っていないようですし、今までどうやっていたんです?」
「どうって……」
事あるごとに呼び出されては、まるで某童話の継母みたいにチクチク言いがかりをしてくる問題社員・杉森さん。
他のスタッフには普通に接しているのに明らかに私にだけ文句を言ってくるところを見ると、ターゲットにされ喧嘩を売られているような気さえする。
「ちゃんと聞いてます? 棗さん」
「あ、はい……」
そんなお小言はほぼ聞いていませんでした。 なんて心の中で嘆いているけど。
何でもかんでも「新しくしろ」「使い勝手が悪い」とまぁ文句が多く、実際この人が来てから余計な経費が増えている現状。