最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 愛想も愛嬌もない。加えて冷たい。
 なんでそんな人がブライダルプランナー(この仕事)の、それも支配人なんてやっているんだろう。不思議すぎる。

「それよりも今週の予約と全体的な流れを見せろ」
「はいはい、少しお待ちくださいね!」

 仕事だから下手(したて)に出ていたけど、彼のその《《上から目線》》な態度にイラッとしてしまい、ついこっちも語尾が強くなる。
 
 テーブルに積み上げていた数冊の資料からブライダルファイルを2冊手に取り、彼の方に見せる形で広げると『なるほど』と、その一言だけ呟いたきり無言のまま真剣に目を通している。
 なんだろう、この緊張感は……。

「式当日、本当にこのスケジュールでやるつもりか?」
「そうですけど……」
「スタッフの人数と分担を考えたら、これだとハードだ。各自の負担が大きくなり手が回らずミスが起きる」
「なっ」
「毎回こんななのか? そうだとしたらブラックだぞ。よくやっていけてるな」
「なっ!?」

 こちらが答える前に次から次へとイチャモンをつけてきて、反論をする隙を与えない。この人に何がわかるんだって思いながらも、私ももう一度資料に目を通してみる事に。

「確かにか……」

 時期も時期だから今月の週末は全て2組ずつの予約で埋まっていて、スタッフのシフトも考えると少々厳しいスケジュールになっているのは否めない。
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