最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
挙式から披露宴と、前半だけでも1時間は経過している為に子供達の集中力が切れてしまったのかもしれない。
会場内の急な消灯でいきなり視界が真っ暗になれば、幼い子供達はビックリして泣いてしまうのも無理ない。更には音楽の音量の変化もあってパニックになるもの。
そしてたぶん、その泣き声に釣られて他の子まで声を上げてしまう連鎖となっているんだと思う。
『子供達を一度会場から出します!』
スタッフ皆のインカムにその指示が入り、私もそれしか方法がないと許可しようと口を開いた、その時――
「ちょっと待て。誰も外に出すな」
まるで警察みたいな物言いで制止させたかと思うと、新郎新婦の元へと近付き2人に声を掛ける。
「私達は、お2人を含めゲストの方々全員に楽しんで貰いたいという気持ちが1番にあります。ですので、今から行う事は一切の料金は不要です。私達からのサプライズとして受け取って頂ければと思います」
丁寧な言い方だけど詳細を全く説明していない桐葉さんは、いったい何をしようとしているの? 料金を貰わない事って、嫌な予感しかしない。
止めに入りたくても、新郎新婦は『それなら……まぁ』と受け入れてしまっている。
「お任せください」
初めて見る穏やかな表情をしたかと思うと、私達にも説明がないままスタッフ専用室へと歩いていってしまった。