最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
3章:真実を知ったとき。
梅雨の候――― 窓の外の小雨をボンヤリと眺めながら感傷に浸ってしまうのは、きっと天気のせい。
今朝の予報で今年は例年より梅雨入りが早いって言っていたっけ。だからかな、気持ちが沈むのは。
ううん、それだけじゃない。
「うーん……」
事務所でノートパソコンを広げ、表示されているグラフや数字と睨めっこしてしまう。私の頭を悩ませている原因は、桐葉さんだと思う。
先月はプロジェクションマッピングだけじゃなく、他の人の式でも大なり小なりサービスばかり。もちろんマネージャーとしは見過ごす訳にはいかないし、こんな事を続けられても困る。経営難にでもなったら倒産だってあり得る話なんだから。
だけど私の心配を余所に、社長はなぜか桐葉さんをヤケに気に入っていて『彼に任せておけば大丈夫』の一点張り。
どうして? って正直思うけど社長がそう言うんだし、実際彼はサービスもするけど客数も増やしているから……。
顧客を得るのも上手だったみたいで、赤字にはなっていないのが事実だから何とも言えない。
リスクも高いけど、その分うまく別でプラスにしている荒業。これが敏腕支配人? だとしても現場のスタッフからしてみたら、振り回されるのは迷惑。せめて責任者の私にくらいは相談してほしいものよ。