最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
もしかして私の勘違いだけであって、凪の相手が別の人なんじゃないかとさえ錯覚を起こす。
ううん、それともこのコのメンタルの強さのせい? 同じ職場の上司の彼氏を寝取って平気な顔して過ごせるくらいの強敵? もしそうなら、とんでもない女かもしれない。何を考えているの?
ダメだな……悪い方向にばかり考えが向いてしまって、今の私は疑心暗鬼になっている。
気にしないように、と視界に入ってくるその姿から意識をパソコンに向けて仕事を再開するのに、全然集中出来ない。
あぁぁ……やっぱり無理。今はここから離れる方が先決かもしれない。
これ以上一緒にいたら、どんどんこのコを悪役に仕立て上げてしまうかもしれない。ううん、悪魔は私の方だ。下手したら凪との事を聞き出して、責め立てそうで怖い。
葛藤した挙句、私は逃げる事を選びパソコンをそっと閉じて片付けを始めた。
次の打ち合わせの時間まで、まだ1時間ほど余裕がある。ここにいられない限り別の仕事で時間を調整するしかなく、必要以上のファイルやノートの準備を始める事に。
そんな私の動きを知ってか知らずか、茉莉愛ちゃんは私の方に視線を向け声を発する。
「そういえば。ネックレス、変えたんですね」
デスクに視線を落としていたけれど、その一言に驚き勢いよく顔を上げてしまい、思わず目を合わせてしまった。