最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 茉莉愛ちゃんが自分自身の首元を指差して強調させてくるから、私も反射的に身につけてるネックレスを触ってしまう。

「前まで確か、鍵の形をしたものを着けていましたよね?」

 どういう意味で質問しているんだろ。ネックレスなんて些細な変化に過ぎないのに。それとも《《わかっていて》》?
 いろいろ勘を働かせすぎて返答出来ずにいたけれど、茉莉愛ちゃんが首を傾げているのが視界に入り我に返った。

「前のは……落として無くしちゃったから違うのにしただけ」

 咄嗟に嘘をついた。本当は無くしてなんかいない。大事になんてしちゃいけないモノなのに、大切に家に閉まってある。あのネックレスは彼から……あ、もしかしてそういう事?

「そうですか……無くしちゃんですね」

 『それは残念だったですね』と眉を下げて《《いかにも》》と落ち込むその言葉が本心なのか、どうしても疑ってしまう。
 そしてその一言一言に、深読みまでする。

「着けられない事情があるのかと思っていましたが、私の勘違いみたいですね」

 一瞬クスリと笑った気がした。わざわざそんな事を口にする必要はない。彼との仲を知っているなら尚更。
 そう思ってしまったら最後、黙っていられなかった。

「どうしてそう思うの? 私は一言もそんなこと言ってないし、着けない理由は人それぞれでしょ。それとも嫌味か何か?」

 気が強い私の悪いところだ。
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