最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
思わぬ答えに私はまた更に驚き、瞬きを忘れて彼を直視した。
「支配人が悪いわけじゃないのにどうして!?」
「社長の判断は正しいよ。俺が直接誰かに手を出した訳ではないが、俺が原因で揉め事が大きくなったのは確かだ。上司という立場上、責任は取る必要があったからな」
「だけど支配人が辞めたところで、彼女の嫌がらせが無くなる訳じゃないはず!」
自分の事でもないのに、なぜだか今度は私が興奮気味に声を張る。
桐葉さんの事は苦手だけど、こんなのはあんまりだと思うから……
「さすがにそれは落ち着いたらしい。まぁ俺がいないんじゃぁ嫌がらせをする必要性もないんだろ。こっちも別れ話は出したしな」
「そう……ですか……」
なんか腑に落ちず、というか信じられずに反応がイマイチ曖昧になってしまう。
まさか本当にそれで終わりに出来たの? それだけで彼女が納得するとは到底思えない。
「無事に別れられたんですか……?」
「……いや、異動になってからもGPSで――」
「GPS!?」
『やっぱりそうだよな』なんて悠長な返事が出来ないくらい、あまりの衝撃に声が裏返る。こんな非現実的な事件が桐葉さんの身に起きていたなんて、内容を想像し過去を辿りながら追い掛けるだけで精神的ダメージを受けそう。