最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
『瑠歌には俺が必要ないと思ったから』って凪の言葉をまた思い出す。あれにはとても大きなあの意味があったんだ。
マネージャー昇格の話が出た時、責任を持つ重要な役職に就くのに自信がなかった私に、彼は『俺も応援する!』って背中を押してくれた。そうやって一緒に頑張るはずだったのに、私は1人で進んできたつもりになっていた。これは自分自身で招いた結果―――
自己嫌悪に集中していたせいで、グラスを握る手に思わず力が入る。加わる熱で溶けた氷がカランと音を響かせて我に返り顔を上げた。
目の前でマスターが心配そうに眉尻を下げ、隣では桐葉さんが未だ真剣な表情で口を結んだまま開く様子がない。
そんな2人を目の当たりにし、余計な事を言い過ぎたと慌てて言い訳をした。
「わ、私なに話してんだろっ。こんなの聞かされても困るのに。今聞いた事は気にしないで忘れてください!」
どうにも誤魔化せる内容が見つからなくて、半分ほど残っていたお酒をグビっと一気飲みするだけ。それでも桐葉さん達はジッと私から目を離そうとしないから、暫し沈黙になってしまう。
桐葉さんが話してくれたからって私まで話しても、誰がこんなの聞きたいのって? って思うに決まってる。
だけど……口にしたくなる。誰かに聞いてもらいたくなる。