最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
これはきっと、今だけだから。お酒のせい、だから―――
「全部終わった事。自業自得だし仕方ないのはわかっているけど……なんか情けなくて」
涙腺が弱くなり視界が少しボヤけ始める。あれ、私って泣き上戸だったっけ。
よりによって彼等の前で最悪……
涙を流さないように口元を手の甲で押さえて必死に堪えていると、スッと横から桐葉さんがハンカチを差し出してくれた。
この人がこんな事をしてくれるなんて、少しビックリ。
「ありがとう……ございます」
躊躇いはあったけれど、その好意に甘えお礼を伝えながら受け取った。
四つ折りになっているそのハンカチは、ビジネス用のスーツに合うようにか紺を基調としたチェック柄で、きちんとアイロンが施されて皺1つ見受けられない。
こういう所に桐葉さんの性格が表れている気がする。
「まぁ……あれだな。お互い恋人には苦労したって事だ」
「そう、ですね……」
私に掛ける言葉を探して選んで、頭を掻きながら精一杯のフォローをしてくれているところを見ると、また気を使っているんだなぁと思う。
お互い恋人には苦労したというより、実際私の場合は相手に苦労させただけ。
だから自責の念……なのかも―――
***
お互いのグラスも空になり、飲む席もそろそろ終わりかな? と会計の予感をしていると、桐葉さんが不意をつく。
「お前は良い女だと思うよ」