優しい風
翌日。

父さんは俺と美咲を
ドライブに連れて行ってくれた。

上の兄二人は部活や勉強で
忙しいと取り合って
くれなかったらしい。

父さんは残念そうにしていた。

あの日以来、美咲とは
あまり喋っていなかった。

父さんは不思議そうに、
「美咲、何で愁と話さないんだ?」
と言った。

「あまりにくっついてたら
怒られたからよ。」

「ぷっ…ははは、
母さん怖いもんなぁー。」

まるで他人事である。

実際美咲にはかなり
迷惑しているのだ。

「でもなぁ、兄妹は
仲良くしなきゃなぁ。」

「解ってるけどあっちから
話しかけてこないもの。」

「そうなのか?」

「…。」

俺は黙っていた。

しばらく適当に走って、その後自宅に戻った。

その間ずっと俺と美咲の間には
沈黙が流れていた。
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