優しい風
俺はちょっとがっかりした。

(そうか、好きなやつが
いるのか…。)

「この間女子共と
話してたのが聞こえたんだよ。
はっきり言ってたぜ、
好きな奴がいるって。」

「で、誰だよ!?」

「そこまでは聞こえなかったな。
女子共が騒ぎ立ててた
ことぐらいしか。」

「何だよ。使えねぇな。」

「仕方ねぇだろ、
通りかかったついでに
耳にしただけなんだからさ。」

「ちぇ。」

少なくとも、今の会話で
解ったことがある。

ライバルが多いという
現実だけは。
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