君のために願うこと
ずずっと重い体を起こす。さっきまで見ていた夢がまだ鮮明に頭の中で残っている。


──来月、11月25日、20時32分に女性が飛び降り自殺で死ぬだろう。 

俺の夢が言っているんだからな。
朝からなんて夢を見たのか、なんて思いながらリビングに行く。

「何朝からそんな暗い顔してんのさ!!元気出しな!!」

と陽気すぎる母さんがいた。ほんとにうるさい。

「母さん起きてたのか」

「そんなことはどうでもいいんだ、とりあえずお腹から声を出す!」

「わかったから」

と適当に返事をすると

「もしかして、また見た?」

今度は声のトーンを真逆に変えて話してきた。

「うん」

「今日はどんな夢だったんだい?」

「女性が自殺してた」

「え、」

人が死んでしまう内容は、流石の陽気母さんでも驚いたらしい。沈黙が流れてしまった。

「そっか、まぁ琉稀(りゅうき)のしたいようにすればいいよ」

「うん、ありがと」

こういうところ、俺の母さんは本当にいい人だと思う。
それから俺は、気を紛らわす為に朝ごはんを食べ学校に向かった。

外に出ると10月の風が体に覆い被さる。

学校ではもう冬服に移り変わる時期だからか季節がよく分からない視界になる。

そんなことはどうでもよくて、俺は来週にある中間テストの勉強に入った

「おっはよ〜!!」

「うるさ」

これから勉強をしようとしていたのに礼華(らいか)が邪魔をして来た本当にうるさい。邪魔すぎる。

「勉強してたのか、すまないすまない」

変な奴と思いながらもう一度目を教科書に持っていく。

「そういえばさ、誘拐の犯行予告来たの知ってる?千歳市の飛鳥高校生徒2人を誘拐するって予告らしいよ〜」

こいつは勉強を邪魔する才能がありすぎている、と思っていたが案外重要な内容だった

「え、それってこの俺たちが通ってる学校の中から2人誘拐されるってこと?いつ?」

「そうらしいね、日にちは多分12月24日クリスマスイブだったはず」

「そうなんだ」







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