視えるだけじゃイヤなんです!
「威勢がいいね。ここみちゃん」
透くんは笑っていた。体の半分を黒い影に沈めながら、相変わらずキレイな顔で微笑んでいる。
「死神だなんて呼ばれるのは心外だなあ。僕はそんな大した名前じゃない」
黒い影がより一層濃くなった。
「ずっと探してたんだ。僕が自由に動ける体を。でも、全部だめだった。僕のことをみんなは受け入れてくれないから。だからこんなことになっちゃって」
黒い影の中で、無数の顔が苦しみにうごめいている。
あたしはゾッとした。
もしかして、その顔の持ち主……みんなこいつに殺されたんじゃ……。
「でもようやく見つけたんだ。この体は僕のことを受け入れてくれた。結構使い勝手がいいし、それに、ほら、こうやって!」
バキっとすごい音がして、畳に大きく亀裂が入った。
「ね、すごいでしょ! こんなこともできるんだね。便利な体だなあ」
あたしはごくりとつばを飲み込んだ。
「どうして……!? 咲綾の時と全然違う!」
あの時は、こんなにスラスラとしゃべれなかったはずなのに。それに、畳を裂くような力も使ってこなかったはず。
昭くんが舌打ちをした。
「透の力を使ってるんだ。……早く何とかしないと、ヤバい」
「ヤバい……!?」
「このまま力を使わせたらダメだ。透が、死ぬ」
そうだ、透くん。力が強いけど、反動も強いって……。このまま死神の好き勝手にさせたら、透くんは倒れるどころじゃなくなっちゃうってこと!?
「僕が好き勝手してるみたいな言い方、傷つくなあ」
クスッと笑いをこぼして、透くんが言い放つ。
「言っておくけど、これは『透』が望んだことなんだよ。僕は『透』にほんのちょっと力を貸してあげてるだけなのに」
「透くんが……望んだ……?」
「そう。『透』はね、ここみちゃんに消えてもらいたいなって思ってるんだ」
あたしは、言葉を失った。
「僕はずっと昭の隣にいたかった。昭の目として、昭を守りたかった。役に立ちたかった。それなのに昭は、僕のことをもう必要としていない!」
泣き笑いの表情で、透くんが叫んだ。
これは、どっち……?
死神? それとも透くん……?
「ここみちゃんがいなくなれば、昭はまた僕を必要としてくれるでしょ。だから、僕は……」
「ウソを言うな! 透がそんなこと望むはずがない!」
透くんは笑っていた。体の半分を黒い影に沈めながら、相変わらずキレイな顔で微笑んでいる。
「死神だなんて呼ばれるのは心外だなあ。僕はそんな大した名前じゃない」
黒い影がより一層濃くなった。
「ずっと探してたんだ。僕が自由に動ける体を。でも、全部だめだった。僕のことをみんなは受け入れてくれないから。だからこんなことになっちゃって」
黒い影の中で、無数の顔が苦しみにうごめいている。
あたしはゾッとした。
もしかして、その顔の持ち主……みんなこいつに殺されたんじゃ……。
「でもようやく見つけたんだ。この体は僕のことを受け入れてくれた。結構使い勝手がいいし、それに、ほら、こうやって!」
バキっとすごい音がして、畳に大きく亀裂が入った。
「ね、すごいでしょ! こんなこともできるんだね。便利な体だなあ」
あたしはごくりとつばを飲み込んだ。
「どうして……!? 咲綾の時と全然違う!」
あの時は、こんなにスラスラとしゃべれなかったはずなのに。それに、畳を裂くような力も使ってこなかったはず。
昭くんが舌打ちをした。
「透の力を使ってるんだ。……早く何とかしないと、ヤバい」
「ヤバい……!?」
「このまま力を使わせたらダメだ。透が、死ぬ」
そうだ、透くん。力が強いけど、反動も強いって……。このまま死神の好き勝手にさせたら、透くんは倒れるどころじゃなくなっちゃうってこと!?
「僕が好き勝手してるみたいな言い方、傷つくなあ」
クスッと笑いをこぼして、透くんが言い放つ。
「言っておくけど、これは『透』が望んだことなんだよ。僕は『透』にほんのちょっと力を貸してあげてるだけなのに」
「透くんが……望んだ……?」
「そう。『透』はね、ここみちゃんに消えてもらいたいなって思ってるんだ」
あたしは、言葉を失った。
「僕はずっと昭の隣にいたかった。昭の目として、昭を守りたかった。役に立ちたかった。それなのに昭は、僕のことをもう必要としていない!」
泣き笑いの表情で、透くんが叫んだ。
これは、どっち……?
死神? それとも透くん……?
「ここみちゃんがいなくなれば、昭はまた僕を必要としてくれるでしょ。だから、僕は……」
「ウソを言うな! 透がそんなこと望むはずがない!」