好きって言ったら悪いかよ?



『あの子昨日、全然水分も摂らずに、暑い中何時間もずーっと外で、探し物をしていたみたいなの。それで、熱中症になってしまってね』


『えっ!?』


わたしは思わず、目を見開く。


探し物って、まさか……。


昂輝は、昨日あれからわたしと一緒に一度家に帰ったはずなのに。


そのあと、わたしのキーホルダーをひとりでずっと探してくれてたの?


『もう。バカなのは、どっちよ。自分じゃなく人のために、そこまでして……』


わたしは、ひとり呟く。


まさか、熱中症になるまで長い間ずっと、キーホルダーを探してくれていたなんて。


全然知らなかった。


『わたしのせいで、ごめんね?』


今は眠っているという昂輝に、お礼を言っておいて欲しいとおばさんにお願いし、わたしは昂輝の家をあとにした。



──それから翌日。


体調が良くなり登校してきた昂輝に、わたしは真っ先に声をかける。


『昂輝。キーホルダー、見つけてくれてありがとう』


『え? キーホルダー? なんのこと? ていうか、見つけたの俺じゃねぇし』


昂輝は、素知らぬ顔をする。


『でも……』



< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop