好きって言ったら悪いかよ?
昂輝が、わたしのほうを真っ直ぐ見つめる。
『キーホルダー、見つかって良かったな。それ、ひよの大事なものなんだろ? もうなくすなよ』
そう言って、わたしのキーホルダーの猫の頭をなでる昂輝の優しい顔に、このとき初めて胸が高鳴るのを感じた。
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多分、キーホルダーを見つけてくれたあのときから、わたしは昂輝のことが気になるようになり、だんだんと好きになっていったんだ。
あのときの猫のキーホルダーは、中学3年になった今も、わたしのスクールバッグについている。
昂輝は、わたしには基本意地悪だけど。
わたしが数学で分からない問題を、バカだなぁと言いながらも丁寧に教えてくれたり。
突然の雨に困っていたわたしに、傘を貸してくれたこともあった。
ちゃんと、優しいところもあるって知っているからこそ、何度嫌なことをされてもやっぱり……わたしは彼を嫌いにはなれないんだ。