好きって言ったら悪いかよ?



ねぇ、昂輝。

どうして、こんなことをしたの?


昂輝は、そんなにわたしのことが気に入らないの?

だからって、いくらなんでもこんなのはあんまりだ。


人の短冊を、破いてその場で捨ててしまうなんて。

一体、どういう神経してるの?


そりゃあ元々はわたしも、ゴミ箱に捨てようとしたけどさ。


自分で捨てるのと、誰かに勝手に捨てられるのとでは、全然違うから。


今まで昂輝に意地悪されたり、からかわれたり。

ひよことか、嫌なことを散々言われてきたけれど。


こんなことをされたのは、さすがに今日が初めてで。すごく、すごくショックだった。


わたしの視界が、徐々にぼやけてくる。


考えたくなかったけど。


こんなことをするってことは、やっぱり昂輝は……わたしのことを『好き』ではないんだろうな。


【アイツと両想いになれますように】


この願いは、きっと叶うことはないのだろう。


だったら……。


わたしは、たった今拾ったばかりの黄色い紙を教室のゴミ箱へと捨てた。


それと同時に、ずっと我慢していた冷たいものがわたしの頬を伝った。



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