エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 紅葉様は最後まで口を挟まずにふたりの話を聞いていたが、表情はコロコロと変化していった。

 ショックを受けた様子で、瞳は大きく揺れ動き、そしてすべて聞き終えると俯いてしまった。

「すみません、あまりの事の重大さにまだ頭が追い付かなくて」

「いいえ、当然のことです。ですがどうか事件の真相を探るためとはいえ、紅葉様を利用した静馬のことを責めないでほしいんです」

 紅葉様にそう訴えたのは勝雄だった。

 本当は紅葉様に話すつもりはなかった。こんな話を聞いたって紅葉様はショックを受けるだけだし、重荷になってほしくなかったから。

 なにより勝雄の言うように、自分を利用されたことに対して俺を責めないか不安だった。

 どうしたらいいだろうか、紅葉様にどんな事情があったにせよ、自分を利用したことを許すつもりはないと言われたら。

 そう言われた時のことを考えると怖いと思うと同時に、こんな感情を抱くのは紅葉様が好きだからだと思い知らされる。
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