エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 それに鍛えているのかスーツを着ていても、逞しい身体をしているのがわかる。

 あんなに堂々と玄関前に立っている泥棒なんていないし、父の知人でもないと思う。親戚でもないし……もしかして誰かの家と勘違いしているとか?

 それなら家主はいつ帰るのか気になって、周りを見回したりするものじゃない? 

 私だったら知人を訪ねて家にいなかったら、待つにしても周囲の目が気になる。あの人はそういうの、気にならないのかな?

 そんなことを考えながらジーッと見つめていると私の視線に気づいたのか、彼と目が合ってしまった。

「あっ……!」

 思わず声を上げて急いで視線を逸らした。しかし、いつまでも物陰に隠れているわけにはいかないと自分に言い聞かせる。

 そもそも私が隠れるのがおかしいよね。「なにかご用ですか?」と聞けばいいだけだ。
 そう自分に言い聞かせた時。

「九条紅葉様ですか?」

「キャッ!?」

 急に聞こえてきた声に、自分でも驚くほど大きな声が出てしまった。

「申し訳ございません、驚かせてしまい」

「あっ、いいえ!」
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