エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい～すべてをかけて君を愛し抜く～

「え？　そうなの？」

　キョトンとなる由香里を見て、緊張が高まる。

　彼女なら真摯に事実を受け止めることができるはずと信じているけれど、実際にはどうなのかわからない。

　でも由香里なら大丈夫、それに事情を知っていたなら教えてほしかったって言うと思う。その自分の勘を信じたい。

　高鳴る胸の鼓動を抑さえるように、小さく深呼吸をする。すると緊張していることがバレてしまったのか、木嶋さんがテーブルの下でそっと手を握った。

　びっくりして彼を見ると、声には出さずに「大丈夫ですよ」と口を動かした。

　そうだ、木嶋さんがいるんだから大丈夫。

　彼に手を握られたまま、私は由香里を真っ直ぐに見据えた。

「あのね、由香里。……これから私が話すことは信じられないかもしれないけど、事実なの。だから落ち着いて聞いてほしい」

「なに？　そんな深刻そうな顔をしちゃって。もしかしてお父さんが法を犯したっていう私の予感が当たったとか？」

　ゲラゲラ笑いながら言われ、顔が強張った私を見て由香里は目を瞬かせた。