エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい～すべてをかけて君を愛し抜く～

「え、ちょっと待って。冗談で言ったんだけど……まさか本当なの？」

　そうだよって言葉がすぐに出てこなくて、目を泳がせてしまう。木嶋さんと溝口さんも同じなのか、誰も言葉を発しない現状に事実なのだと理解した由香里は「嘘……」と力なく呟いた。

「どういうことか説明して。お父さんはなにをしたの？」

　私を見つめる由香里の瞳からは、信じたくないって思いが伝わってくる。どんなに嫌っていたとしても父親だもの、由香里の気持ちが痛いほど理解できて胸が痛い。でも由香里には嘘をつきたくない。

　その思いで私はすべて打ち明けた。

「そっか……。ずっとなにか悪いことでもしていそうだとは思っていたけど、まさか脱税に殺人まで犯していたか」

「ハハッ」と力ない声で笑いながら言うと、由香里は目を伏せた。

　彼女にかける言葉が見つからない。やっぱり話すべきではなかった？　最後まで隠しておくべきだっただろうか。

「ごめん、ちょっと頭を整理する時間をちょうだい」

「うん、わかったよ」

　いきなりこんな話を聞かされたって混乱するよね。