エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 私の腕の中で泣きじゃくる由香里の背中を優しく撫でる。

 どれくらいの時間、由香里は泣き続けていただろうか。少しずつ落ち着いてきたのか、ズズッと鼻を啜った。

「由香里様、どうぞお使いください」

 すかさず溝口さんにハンカチを差し出された由香里は、「すみません」と言いながら受け取った。

 ゆっくりと彼女から離れると、由香里の目は真っ赤に染まっていて胸がギュッと締めつけられる。

「大丈夫?」

「うん、ごめんね。いっぱい泣いちゃって。もう大丈夫」

 溝口さんから借りたハンカチで涙を拭った後、由香里は木嶋さんを見据えた。

「父が木嶋さんのお父様を殺害したことは、間違いないんですよね?」

「……はい、ほぼ間違いないです」

 その言葉を聞き、由香里は大きく深呼吸をした。

「だったら娘として父にはしっかりと罪を償ってほしいです。脱税に関しては兄も関わっているのでしょうか?」

 それには溝口さんが答えた。
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