エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「うわっ!?」

 久次さんが倒れる音とともに鈍い音が聞こえてきて、急いでタクシーから降りると、久次さんに馬乗りになっている静馬さんがいた。

「静馬さん……」

 彼に殴られたようで、久次さんの唇の端は血が滲んでいた。

「よくも紅葉様をっ……」

「や、やめろ。殴るな。俺を誰だと思っているんだ?」

 狼狽えだす久次さんに容赦なく静馬さんは腕を振り上げた。

「なにやってるんだ、静馬!」

 遅れて駆けつけた安藤さんが、すかさず静馬さんの背後から止めに入る。

「離せ!」

「離すわけがないだろ! こんなやつを殴るより紅葉様を抱きしめるのが先だろうが!」

 安藤さんに言われた静馬さんは動きを止める。

「あとのことは俺に任せろ。……腕を怪我しているようだから、早く病院に連れていったほうがいい」

 そう言われ、静馬さんは久次さんの上から退くと、私に向かって駆け寄ってきた。

「紅葉様……っ」
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