エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 一代で築いた会社には大きな後ろ盾が欲しかった。滑落したとはいえ、公家の末裔である私と結婚することで拍をつけたかったようだ。

 父の勤める会社と久次さんの父が経営する会社は業務提携しており、我が家の噂を聞きつけて私に条件付きの結婚話を持ちかけてきた。

 婚姻の対価として借金の返済はもちろん、父の治療費に生活費まで出してくれると言われたら、私に断るという選択肢はなかった。

 婚約者となり、約一年後には結婚する予定の久次さんにたとえどんなひどい扱いを受けようとも、私に抵抗することはできない。

 今日のように夜の十八時に急に呼び出され、彼の友人をもてなすよう言われたとしても。

 久次さんは友人三名を招待して、自宅で飲み会をされていた。そこで私はさっきから彼らのグラスが空くたびにお酒を注いでいる。

 つまみがなくなれば家政婦に頼み、お酒が切れれば取りにいく。こういうことは今日が初めてではなかった。
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