エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
「告白、してもいいと思う?」

「いいに決まってるじゃない! むしろ婚約破棄も念頭に置いて、結婚回避に全力で取り組んでいいと思う!」

「いや、さすがに久次さんとの結婚は避けられないよ」

「どうして?」

 間髪を容れずに聞くと、由香里は真剣な表情で私に言い聞かせるように話し始めた。

「これまでは紅葉に好きな人がいなかったし、前にお兄ちゃんも結婚したら変わるかもしれないって前向きだったから強く言わなかったけど、まだ諦めるには早いんじゃない? お兄ちゃんと結婚しなくて済む方法があるかもしれないじゃない」

 久次さんと結婚しない方法なんて、そんなのないよ。父は抱えている借金の正確な金額を教えてはくれなかったけれど、恐らく何百万とあったはず。

 それに加えて父の入院費用や治療費、生活費を合わせたらかなりの金額になる。

 この前会って以来、久次さんからの連絡はないし会ってもいないけれど、このタイミングで結婚をなかったことにしたいと言ったら、またなにを言われるか。
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