忘れさせ屋のドロップス
私は、答えられない。遥の目を見て、声を聞いた途端に泣きそうになる。
「また泣きそうじゃん、何で?」
私は、首を横に振る。スウェットの裾を握り締めた。
「……なんか俺がした?」
「ち、違う……」
「じゃあなんで?」
遥は、ずっと私の手首を握ってた。掴まれたままの手首が震える。ポタンとスウェットの裾に涙が落ちた。
遥に、いつだって側にいて欲しい。遥に笑ってて欲しい。
なのに、遥にしてもらってばかりの私は、遥に何にもしてあげられない……。
遥は、溜息を小さく吐いて、泣き出した私を、そっと腕の中に包んだ。
「泣き虫なおんねーな」
「……ひっく……はる……か」
「ゆっくりでいいから」
私は、スウェットの袖で目元を強く擦る。遥の前で泣きたいわけじゃないのに。ぐいっと遥が私の手を掴んだ。
「あんな、目腫れんだろ」
「……ひっく……離して」
「有桜、ちゃんと言って。言ったよな?黙ってても俺わかんないって」
「……ひっく……だって、困るから……ひっく……遥が」
「え?俺?」
遥の側から離れたくなくて。でも一緒にいるとすぐ泣きそうになる。
「遥が……そばに居てくれ……ないと……ひっく……苦しくて……どうして、いいか……わからなくなるの」
遥は、何も言わずに、泣き出した私の背中を、黙って摩ってくれていた。
「……遥……ごめん、なさい……」
「何で……謝んの?」
遥の手が、私の頬に触れる。
「謝る……ことじゃないだろ?」
遥の顔は、もう滲んで、うまく見えなかった。
涙が、止まらなくて、私のことを見て欲しくて。そんなこと叶わないのはわかってるのに。
「でも、俺……有桜に何にもしてやれない」
「そん、な……ことない……」
「俺は、ずっと、側には居てやれない……」
私は、首を振る。言われることは分かってたのに、涙が止まらなくて。
叱られた子供みたいに泣いてる私を、遥が両手で強く抱き寄せた。
ーーーーもう、言葉にしないと苦しかった。
「……遥が……好きなの……」
私は、遥の背中を両手で、ぎゅっと抱きしめた。
「また泣きそうじゃん、何で?」
私は、首を横に振る。スウェットの裾を握り締めた。
「……なんか俺がした?」
「ち、違う……」
「じゃあなんで?」
遥は、ずっと私の手首を握ってた。掴まれたままの手首が震える。ポタンとスウェットの裾に涙が落ちた。
遥に、いつだって側にいて欲しい。遥に笑ってて欲しい。
なのに、遥にしてもらってばかりの私は、遥に何にもしてあげられない……。
遥は、溜息を小さく吐いて、泣き出した私を、そっと腕の中に包んだ。
「泣き虫なおんねーな」
「……ひっく……はる……か」
「ゆっくりでいいから」
私は、スウェットの袖で目元を強く擦る。遥の前で泣きたいわけじゃないのに。ぐいっと遥が私の手を掴んだ。
「あんな、目腫れんだろ」
「……ひっく……離して」
「有桜、ちゃんと言って。言ったよな?黙ってても俺わかんないって」
「……ひっく……だって、困るから……ひっく……遥が」
「え?俺?」
遥の側から離れたくなくて。でも一緒にいるとすぐ泣きそうになる。
「遥が……そばに居てくれ……ないと……ひっく……苦しくて……どうして、いいか……わからなくなるの」
遥は、何も言わずに、泣き出した私の背中を、黙って摩ってくれていた。
「……遥……ごめん、なさい……」
「何で……謝んの?」
遥の手が、私の頬に触れる。
「謝る……ことじゃないだろ?」
遥の顔は、もう滲んで、うまく見えなかった。
涙が、止まらなくて、私のことを見て欲しくて。そんなこと叶わないのはわかってるのに。
「でも、俺……有桜に何にもしてやれない」
「そん、な……ことない……」
「俺は、ずっと、側には居てやれない……」
私は、首を振る。言われることは分かってたのに、涙が止まらなくて。
叱られた子供みたいに泣いてる私を、遥が両手で強く抱き寄せた。
ーーーーもう、言葉にしないと苦しかった。
「……遥が……好きなの……」
私は、遥の背中を両手で、ぎゅっと抱きしめた。