忘れさせ屋のドロップス
「やめてっ」
軽く突くようにして、女の人の腕を振り払うと私は数歩後ろに下がった。
体が少しだけ震えてくる。
ーーーーあの人に、少しだけ似てて。
「ねぇ、あなたみたいな子、遥が本当に必要だとでも思ってる?」
あなたみたいな子。
有桜みたいな子。
要らない。
遥には必要ない。
目の前があっという間に滲んで何も言葉にだせなくなる。
カツカツと靴を鳴らして、女の人が私との距離を詰めた。
「あなたのせいね、遥が……」
女の人の細い指が私の肩に食い込むほどに強く掴んだ。
「おい、何してんだよ」
カランと扉を開く音と共に、遥の声が室内に静かに響いた。
「は、るか」
遥は、女性の腕を掴むと私から乱暴に払い落した。
「有桜、大丈夫か?」
心配そうに遥が私を覗き込んだ。頷くと同時に涙が一粒転がった。
小さく息を吐くと、遥の表情が変わるのがわかった。
「此処には来んなって言ったよな?」
「私のライン見て、慌てて帰ってくるなんて、遥らしくない」
「ほっとけよ、会うのは夜だけの約束だろ」
「ええ、そうね。でも、何でお昼から会うのがダメなのか、理由は遥が言わなかったから知らなかった。まさかこんな子供と一緒に住んでるなんて」
「お前に関係ねーだろ」
「関係無いとは言わせない。この2年、私たち、持ちつ持たれつの関係だったでしょ」
遥がイラついたように舌打ちした。
軽く突くようにして、女の人の腕を振り払うと私は数歩後ろに下がった。
体が少しだけ震えてくる。
ーーーーあの人に、少しだけ似てて。
「ねぇ、あなたみたいな子、遥が本当に必要だとでも思ってる?」
あなたみたいな子。
有桜みたいな子。
要らない。
遥には必要ない。
目の前があっという間に滲んで何も言葉にだせなくなる。
カツカツと靴を鳴らして、女の人が私との距離を詰めた。
「あなたのせいね、遥が……」
女の人の細い指が私の肩に食い込むほどに強く掴んだ。
「おい、何してんだよ」
カランと扉を開く音と共に、遥の声が室内に静かに響いた。
「は、るか」
遥は、女性の腕を掴むと私から乱暴に払い落した。
「有桜、大丈夫か?」
心配そうに遥が私を覗き込んだ。頷くと同時に涙が一粒転がった。
小さく息を吐くと、遥の表情が変わるのがわかった。
「此処には来んなって言ったよな?」
「私のライン見て、慌てて帰ってくるなんて、遥らしくない」
「ほっとけよ、会うのは夜だけの約束だろ」
「ええ、そうね。でも、何でお昼から会うのがダメなのか、理由は遥が言わなかったから知らなかった。まさかこんな子供と一緒に住んでるなんて」
「お前に関係ねーだろ」
「関係無いとは言わせない。この2年、私たち、持ちつ持たれつの関係だったでしょ」
遥がイラついたように舌打ちした。