忘れさせ屋のドロップス

 渚さんからは、泊まっていってもいいんだよって言われたけど、私はやっぱり遥が帰ってくるのを待ちたくて、夜ご飯を食べさせてもらった後、2階の遥の家に戻ってきた。


 想像はついていたけれど、扉を開けて真っ暗な部屋をみて、遥が居ないことが悲しかった。


 今頃、あの女の人と遥が、どんな話を、して、どんな事をしているのかと考えるだけで苦しくなる。



 ダイニングテーブルに、置いたチャーハンのプレートは、綺麗に洗って干してあった。


 私が書いたメモ書きは、そのままテーブルに置いてある。遥宛に私が書いたメモ書きの下に、文字が付け加えてあるのに気づいた。

思わず拾い上げた。


『必ず帰るから、待ってて』


 大きめで、少し右肩上がりの整った綺麗な文字だった。

 何度も私は目でなぞった。遥に会いたくてたまらなくなる。
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