ひとみ-眼球上転-



「弟がいるの。」


「唯一素で話せる子だった、」








亮は私に相談してきた。


「友達と喧嘩したときってどうすればいい??」








私は人見知りで友達もいなかったから答えられなくて。何も言えずにいたら

「なんで何も言わないんだよ、言わなきゃわかんないだろ!」って。





弟、私の事役立たずだって離れたの。それから仲良しに戻れなくなった。















だからこれからは喧嘩して関係が壊れるよりは自分が我慢するほうがいいって思った。

そもそも関係を始めず質素な生活を送るのがい一番だ、とも。



みんなに本音言えなくなった。でもそれが償いだとも。亮は私に失望したんだ。










「ちがうんじゃねーの?……後ろ。」


「え?」







振り向くと亮がいた。



亮。今の話聞いてたの?危ないから呼んだのは親じゃなかったの?











「親がいないから俺が迎えに来た。帰るぞ。」

どうしようなんて言えばいいの?どうやったら傷つけない?



「その態度が一番傷つくんだよ。」亮が何かをつぶやいたけどよく聞こえなかった。



「……。」無言でその場を後に亮へとついていく。私は何も言えない。言うのが怖い。




「……俺から本音言うと、」


先導してた亮が振り返った。




















私に向き直り、


「だってお姉ちゃん本当のこと言わないじゃん。




辛い時辛いって、わからない時分からないって言わないで無理して。

見てるだけで疲れるよ。」






















「俺が傷ついたのは、」


「何も言わないでしょい込むからだ。」



「……!」























言わないとわからないだろ?


亮が静かに笑う。いつの間にか背も伸びて声も低くなった。

違う人みたいでも、懐かしさ香るその瞳に。よみがえる淡い思い出たち。弟の本音を知り、揺れる心。














「私は、」



「寂しかった。」





「小学校に入って友達ができて。亮が遠くに行くのが怖かった。私のそばにいてほしかった。」
















言ってみて気づく。私は弟がたった一人の友達なんだ。


「俺もお姉ちゃんが好き。」





「で、も!」


「?」



「俺嫉妬したなーいつの間にこんな彼できたの?」


かれ?途端に赤くなる頬。こんなの相手に気づかれたら終わる。



















あ、付き合ってるんじゃないの?


いや、これから告白する。




え?







「えーーーーーーー!!!」




























だって名前も知らないし会ったの私覚えてないし、話すの緊張するし……。


ありがとうって言われて話ができて弟とも会えた。問題ないだろ。



君の事まだ何も知らないのに。






これから知っていけばいいだろ。

いや、名前だってまだ知ら……






「俺は、」



今度は向き合う相手が違う。


「颯(はやて)。」




「素直になるって難しい」


続く




ねーちゃんかわいい。もうー!
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