ひとみ-眼球上転-
「目の調子悪いのは本音を言えないからだ、」


って分かったのに。。。














「来てくれたんだ。」



「……。」



「まだ緊張する?」



















何も言えないよー。











「ま、また今度。……帰ります。」

「言えるだけ強くなったな。えらいじゃん。」



私が絶対悪いのに褒められてしまった。心外だ。




「またな。」


そう言って笑う君の顔をうまく見られなかった。










「スキなら好きって言えばいいじゃん。」



最近「とあることについて」は弟の亮に相談してばかり。


















「付き合いだしたんだろー?」






「まだだよ。」
















「=のようなもんじゃん。」



















実はあの時は









「負担なのわかるよ。」





「急がない。」







この前も言われてしまったのだけれど。


































「俺が嫌ならもう話しかけるな。でもありがとう」





「俺、いつもここに来るから。また会えるまで待ってる。勝手にごめんな。」


いろんなことがありすぎてついていけない私を。毎回のように気遣ってくれて。







目の調子が悪くて倒れた私を庇ってくれたのはキミ。



















私はキミと初めて会った日の事を覚えてすらいないのにどうして優しくするの?


考えたら体中が熱くなった。危険信号が鳴ってる。






今日も言えない。

























「ね~ちゃんにゾッコンじゃん颯君。」














その名前を言わないで…。


颯君。名前を思い出してむずがゆくなる。

















「嫌じゃないの?」


「颯君って呼べないよ。」



「目も見られない。」












「それは、怖いから?」


「……。」



















解ってる。でも言いたくない。



「言えない。」












「黙って何も言わなかったねーちゃんを。

変えてくれた人だから応援するよ、俺は。」







「ありがとう。」

















私は颯君が好きなんだ。

そんなのとっくに知ってるよ。




正直なところ分からない。でも、すごく気になる。












あの優しいキミが私を助けてくれた。


ヒーローなんて私とは無縁だと思っていた。












キミが私に光をくれたから。






私の人生が少しずつ変わってゆく。
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