冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

帰宅し、未来がお昼寝をしている間に夕食の仕込みをする。豊さんは今日、早く帰ると言っていた。三人で夕食を食べるのだ。
家事の手を止め、チェストの一番上の引き出しにしまってある小箱を取り出した。中には昨晩もらった婚約指輪。見つめているだけで嬉しくて胸があたたかくなる。
そしてそれと同時に、昨夜の記憶がよみがえってくる。恥ずかしい。でも、幸せ。晴れて豊さんと結ばれることができたのだから。
思えば、最初に抱き合ったときは、愛を伝えることすらできなかった。その分、昨晩はたくさん互いの名前を呼び、愛をささやき合った。それがまた、幸せな記憶として身体と心に刻まれている。
未来が起き、お散歩をし、お風呂に入れ、夕食の仕上げをしたところで豊さんが帰宅した。

「ただいま」
「おかえりなさい」

今朝だって顔を合わせたけれど、こうして会うと照れ臭くなってしまう。思わずお互い顔をそらしてしまった。

「豊さん、夕食はシチューですよ」
「ああ、嬉しいな」
「こ、今度、豊さんの好物を教えてくださいね」

豊さんが未来を抱き上げ、私を見る。照れて頬が赤い。

「すごく、初歩的な質問だな」
「だって、こういったことを話しあわずに来てしまったんですもん。ちなみに私の好きなメニューはパスタです。ひとりでごはんを食べるときは、すぐにパスタにしてしまいます」

豊さんがふふっと笑う。

「そうか、じゃあ、パスタのリクエストを増やそうかな」
「違います。豊さんの好きな食べ物です」