冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
着信だ。望から?

「望、どうしたの?」
『姉ちゃん、急にごめん』

望の声が切羽詰まっているように聞こえ、私は豊さんに目配せした。何かあったのだろうか。

『今、可世の親に会いにきていたんだ。だけど、ろくに話も聞いてもらえなくて、俺だけ追い出されて』
「え? 可世さんは?」
『親が家にとじこめてる。可世も俺も抵抗したんだけど、中安議員はボディガードみたいな連中をそろえていて、俺を可世から引き離して外へ追い出したんだ』

絶望的な望の声音に私は青ざめていくのを感じた。まさか、そんな強硬手段に出るとは。

『インターホン越しに何度も呼んだんだけど、後日訴状がいくって。娘を洗脳して連れ去ったことを訴えるって言うんだ。これ以上家の前で騒ぐなら、誘拐と強姦で警察を呼ぶって』
「ひどいことを言うのね。全然筋が通らない……!」

望は身重の可世さんと引き離されたことにショック状態のようだ。望も可世さんも、私たちも中安議員を甘く見ていた。
豊さんも話の大筋がわかったようだ。私からスマホを受け取り、望に言う。

「望くん、中安議員が今していることは監禁だ。きみと可世は内縁関係にあり、腹の子の父親はきみ。きみが可世に会えないのはおかしい。これから、俺もそちらへ向かう」

豊さんは言い切り、私にスマホを返す。

「私も未来を連れて同行する。待っていて」
『ごめん、ありがとう姉ちゃん』

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