冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「綺麗だ。いつも綺麗だけれど、今日のきみは格別に美しい」

私はAラインのドレスにショートベールというスタイルだ。未来もいるのでゴテゴテしたデザインは止めたのだけれど、自分でも気に入っているウエディングドレスを選べたと思っている。
でも面と向かって褒められると、やっぱり恥ずかしい。なにげない顔をしているつもりでも、頬がかーっと熱くなる。

「豊さん、みんないるので」
「すまない。だけど、未来もきみも主役だから。きみだって輝いていると言いたくて」

語尾がどんどん小さくなっていく豊さん。こんなところを可愛いと思ってしまう。一緒にいればいるほど、彼のあらゆる瞬間を目にして、そのたびに好きになっていく。
それは恋の確認作業で、長く離れていた私と彼にはとても幸せな瞬間だ。

「豊さん、私たち幸せになりましょうね」
「ああ、必ず」

豊さんが精悍に微笑んだ。



ささやかだけど、いいお式だった。
入場からずっと未来も一緒に参加し、誓いのキスは私と豊さんが未来の頬にキスをした。
未来は注目されている状態に興奮し、不機嫌にもならず、ずっときゃあきゃあ笑い声をあげていた。
式の後、写真撮影ではフラワーシャワーを散々撒いて笑顔だった。

藍は仕事の関係で、式だけで帰宅する。藍にはウエディングブーケを進呈した。

「明日海、おめでとうね。花嫁姿を見られて嬉しかったよ」
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