冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「え、と、前よりは。環境が変わったせいだと思うんですが……」
「環境か。未来にとっては大きな変化だものな」

真剣な表情で未来を見つめ豊さんは言う。

「少し、あやすのを代わるか?」
「え!? いえ、あの大丈夫です!」

思わず大きな声で答えてしまい、未来がいっそう泣きわめく。
豊さんはそこでようやく私とかなり接近していたことに気づいたようだ。数歩下がり、頭を掻きながら言った。

「今は日中も暑くて外遊びができないだろう。リビングのそのあたりに子供用のジャングルジムや滑り台を設置するのはどうだ」

思いもかけぬ提案に私はさらに驚いた。その顔が豊さんにも伝わったらしい。彼はひときわ渋い顔になり答える。

「妻と娘には不自由なく暮らさせると言っただろう。ただ、俺は赤ん坊と暮らすのは初めてだ。見当はずれなことを言っていたら、遠慮なく言ってくれ」
「ジャングルジム、未来は喜ぶとは思いますが」

私がおずおずと返すと豊さんは頷いた。

「よし、用意する」
「あ、あの。あとベビーガードを色々買いたいのですが」

ついでだから言ってしまえと口にする。豊さんが「ベビーガード?」と復唱して不思議そうに首をひねった。
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