冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「家具の角につけるクッションだったり、キッチンなど危ない場所に入れないように柵をつけたり。家具を傷つけてしまうかもしれないのですが、未来がよく動き回るようになったので、そういった安全対策が必要なんです」
「それは大事なことだ。どういった商品があるかわからないが、明日海の方で取りそろえられるか?」
「あ、はい。他にも欲しいものがあるので、ベビー用品店に行ってきます。設置前に豊さんに確認しますので」
「どこに何を取り付けても問題ないが、設置に男手が必要なら言ってくれ」

まるで、仕事の話をしているみたいに、さくさくと会話が進む。
二週間ほどコミュニケーションは皆無だったのに。私はこの状況がかなり変な状況に感じられるけれど、豊さんはどう思っているだろう。

私が未来をあやして寝かせるまで、豊さんはリビングのソファでその様子を見守っていた。未来はやがてうとうとと眠りにつく。

「話を戻して恐縮ですが」

おろすとまた起きてしまいそうなので、私はゆらゆらと揺れながら豊さんに話しかけた。

「妻と子だとおっしゃってくださるなら、この家をもっと使ってくださいませんか。少し心配です。ずっと職場に寝泊まりされていては疲れも取れないでしょう」
「たまに実家も使っている」

そんなことを言っているけれど、私は彼の執務室に大きなソファと毛布があるのを知っている。私が社員だった時代から、彼は近所のスポーツクラブでシャワーを浴び、ソファで眠ってしまうことがよくあったはずだ。

私が黙ってじっと見つめていると、仕方ないというように付け足して言う。

「未来はまだ俺に慣れていない」
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