冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
未来を横目に見ながら、まずはローテーブルの角にクッションを張り付けていく。引っ張ったら未来の力でも開きそうなチェストの引き出しにはロックを張り付けた。
ベランダのある高層階なので網戸にもロックをつけて、コンセントの差込口にもキャップをつける。
キッチンとリビングの間に開閉式のゲートをつける。これは突っ張り棒タイプのものなので、幸いにもキッチンカウンターや壁を傷つけることはなかった。でも長期間くっつけておいたら、跡くらいは残りそう。

作業の間、未来はジャングルジムの周りをぐるぐる歩き回り、中に入って遊び始めている。
滑り台によじ登って上から滑るのははまだ難しいけれど、滑り台にもたれてずるずると滑っている。かなり楽しんでいる様子。

ベビーガードの確認をしてもらいたい。網戸やキッチンのドア開閉の仕方はレクチャーしたいし、未来が楽しそうにジャングルジムで遊んでいる姿も見せたい。
私は悩み、結局未来を抱いて、豊さんの部屋をノックした。

「豊さん、いいですか?」

彼の部屋に近づくのは初めてだ。すぐに豊さんが出てくる。

「どうした」
「しつこいかと思いますが、どうしてもベビーガードの設置個所を確認していただきたいんです。気づかずに動かしてしまうと、大人の力で壊れてしまいそうなものもあるので」

豊さんは怪訝そうな顔。うざったく思われているかもしれないけれど、同居人として主張はしておかなければ。私は続ける。
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