冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
未来が食事や水分を拒否していたのに理由があるとまでは思わなかった。きちんと調べていれば、午後の診療で病院に連れていってあげられたのに。

「少しだけ脱水を起こしているので、経口補水液を飲ませてあげましょう。この後看護師が指導します。あとはお薬を出しますが、ここでは最低限しか出せないので、明日かかりつけの病院にかかってくださいね」
「はい、ありがとうございました」

未来を連れ診察室を出ると、隣の処置室に呼ばれた。看護師さんがスポイトで少しずつ未来の口に水分を運んでくれる。
未来が痛がって泣くのが可哀想で見ていられない。しかし、この作業を私がしてあげなければならないのだ。看護師さんと交代だ。スポイトを受け取り口に運ぶけれど、未来はいやいやと首を振る。

「お父さん、抱っこしてあげるのはどうですか?」

看護師さんに言われ、豊さんが未来を抱いた。そこに私がスポイトで水分を運ぶ。未来はべそをかいていたし、入れた経口補水液の半分以上は吐き出してしまったけれど、多少は飲めたようだ。

「このくらい飲めればOKですよ。喉や扁桃腺の腫れが引いてくると、もう少しすんなり飲んでくれると思います」

そう言われ、私と豊さんはほっと胸をなでおろした。

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