冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
未来の熱は翌日も下がらなかった。
近所の小児科に来院し、昨晩の経緯を伝えた。可哀想に、未来は再検査で喉をぬぐわれ、悲痛な泣き声をあげていた。

高熱で眠れないときだけ解熱剤を使い、あとはもらった薬のみ。食事は食べられず、水も私が根気強くスポイトで与えた。

さらに翌日の夕方、熱が少し引いてくると、うつろだった目に生気が見えるようになってきた。水分は嫌がるものの飲んでくれる。
四日目には哺乳瓶でフォローアップミルクをぐびぐびと飲むようになった。口を開けさせてみると、まだ喉は赤いけれど多少腫れが引いたように見える。少なくとも脱水は防げるだろう。
食事はドロドロの離乳初期のおかゆを出してみた。普段の食事と違うせいか、喉に染みるのか、口の端から舌で押し出してしまう。

未来の体調は日に日によくなっていったが、食事の苦労はしばらく続いた。
離乳完了期の食事を手づかみやスプーンでたどたどしく食べていた未来は、どろどろのパンがゆやうどんを私にスプーンで運んでもらう状態に戻ってしまった。
もちろん一時的なものだと思うし、未来の体調が戻ったのが一番だ。しかし、食に対する気難しさが病気の経験のせいなのか、月齢によるものなのかはかりかね、私はさつまいもをつぶしてみたり、野菜の固さを変えた食事を出してみたりと試行錯誤の日々だった。
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