冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
診断から一週間でもう一度受診し、人に感染するような状態ではなくなっていると言われた。残った薬を飲み切ること、一ヶ月後に尿検査をすることを指示されて帰宅。

「未来、よかったねえ」
「あい」

未来はわかっていないようだけれど、私が微笑むので合わせて微笑む。こういったところは前よりコミュニケーションが取れているように感じるけれど、その分自己主張もはっきりしてきたと痛感する。

早く、元通りなんでも美味しく食べる未来に戻ってくれたら安心なんだけれどな。
そんなことを考えつつ、未来の病気が一段落したことにホッと胸をなでおろした。

その日の午後だ。私が発熱したのは。
私も溶連菌が移ったのかもしれない。喉は痛くないけれど、大人は無症状のこともあると聞く。急いでタクシーに乗り、実家に向かった。母に未来を預け、実家にいたころにかかっていた内科に向かう。
その頃には全身の関節が痛く、悪寒がして目の前はくらくら。
家ではかったときは三十八度だったけれど、もう少し上がっている気もする。

内科で検査してもらったところ、私はウイルスでも細菌感染でもないそうだ。

「おそらく疲労で免疫が落ちたのでしょう」

医師は言った。疲労。確かに未来のことにかかりきりの一週間だったけれど。

「抗生剤出しておきますね。あと、点滴しましょう。ゆっくり休んでください」
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