冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
家に帰って熱を測りなおす。三十九度二分、先日の未来の熱と同じくらい出ている。疲労でこんなことになるなんて。
豊さんに発熱と未来を預けたことをメッセージで送っておく。
悪寒と関節痛を和らげるために、解熱剤を飲んだ。痛みが減ったせいか、布団に入るとすぐに眠りが訪れた。未来が隣にいない状態で寝るのは、出産後初めてだと思う。
ものすごく心細い気持ちだった。

次に私が目覚めたのはリビングの物音。控えめだけど、足音と椅子を引く音だ。
私はのろのろと身体を起こす。
枕元のスマホには、母からのメッセージと写真。

【ごはん、おいしく食べてます】

父と並んで座った未来が笑顔で人参を手づかみしている姿だ。よかったとホッとしつつ、豊さんからもメッセージが入っていることに気づいた。

【大丈夫か】

私がメッセージを送った直後だ。眠ってしまったので気づかなかった。
次はほんの三十分前のもの。

【食べたいものはあるか】

じわっと胸が熱くなる。どうして彼は優しくしようとするのだろう。

起き上がると、ぐらりと身体が傾いた。まだ解熱剤は効いているようだが、熱は下がり切っていない。ぐっと踏ん張り、どうにか和室の戸を開ける。
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