あなたが私を見つける日まで
「私の話なんて需要ないし、全然面白くなんてないと思うけど…、」


ぽつりと零して様子を伺うように隣を見やると、既に眠りの体勢に入った日向君の美しい顔が見える。


この調子だと、私が話し終える前に寝ちゃうんだろうな。


でもそっちの方が良いや、これ以上日向君に変なイメージを持たれたくないし。


ふう、と息を吐いた私は、まるで自分自身への戒めのように小さな声を吐き出した。



「私が保健室登校してるのは、…いじめられてたから」



日向君は、ぴくりとも動かなかった。







事の発端は、中学2年生の頃。


クラスの中でも上位に君臨していた女の子とその取り巻きが、理由もなく私の友達をいじめだしたのが始まりだった。


いじめの王道である無視や陰口から始まり、トイレの個室で頭から水をかけたり、上履きを隠すのは日常茶飯事。


クラスメイトが私の友達に酷い態度をとる中、私はそんな汚らしい権力に屈しなかった。


精神的にも追い込まれていた友達を何とかして元気づけたくていつも一緒に行動したし、先生にも何度も相談しに行った。



その子は、“凛だけが私の味方だね”と潤んだ目を細めて笑ってくれたのに。
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